◆護憲の展望拓く参院選へ・・・総選挙の結果を受けて

 自公が惨敗し、「裏金」への怒りが立憲民主党などを躍進させました。一方、戦争準備への税金投入など「表金」は争点化されず、護憲勢力は伸びませんでした。
 自公の悪政転換を目指す以上、「裏金」だけでなく戦争準備の強行、大企業優遇も争点のはずでした。立憲民主党の躍進と合わせ社民党や共産党も躍進してしかるべきでした。しかし、両党は伸びずに国民民主党が躍進し、衆議院に保守党や参政党が登場しました。立民の公約は「政治改革」はともかくとして、安保・外交では「継承性」を強調、原発・消費税はあいまいであり、野田・立民は共産党と距離を置き、保守層を取り込むことに傾斜しました。
 立民に投じた国民の多くは自公の悪政総体の転換に期待をかけましたが、立民指導部は野田路線が支持されたと受け止めるでしょう。自公は大きな打撃を受けましたが、政治の座標軸は護憲側に寄ったわけではありません。
 死に体・少数与党の石破政権は、野党の協力がなければ何も決められません。「政治改革」は、野党の要求を一定程度飲むでしょう。一方、戦争準備は既成事実化されており、後戻りできないところまできています。「抑止力強化」と「日米同盟機軸」については、自民と国民・維新は一体で、立憲も大差なく「安保・外交」翼賛国会がつくられかねません。
 明確な改憲推進勢力は、発議に必要な3分の2議席を割りました。しかし、腐敗自民党に改憲国民投票の大事業達成の自信はありません。それだけに、野党に対する工作も強まります。
 こうした中で立憲民主党が踏みとどまらない限り、せっかく自公に鉄槌を下しても、政治はよくなりません。そのためにも来夏の参院選で社民党、共産党など護憲勢力がどこまで挽回できるかが焦点です。危機に瀕する立憲野党共闘の再建も大切です。



◆基地機能強化を認めない・・・第39回ピースフェスティバル


 39回目を迎えたピースフェスティバルが、10月20日横須賀市三笠公園で開かれました。政府は防衛費を倍増(対 GDP 比 2%)しようとしています。金額にすると 12 兆円程度で消費税税収 の半額近くで、国民一人当たり 10 万円給付にほぼ匹敵します。イージス艦 2 隻だけでも当初 4500 億円といわれたのが 9000 億円に、三菱重工の中距離弾道ミサイル開発費だけで 1000 億円、辺野古新基地総工費は軟弱地盤が見つかり当初試算の 2.7 倍 9300 億円に、反対運動弾圧のための民間警備会社に完成まで支払う金額は見積りだけで 1700 億円と軍事費バブル状 態です。ウクライナ侵略をきっかけに世界は一斉に軍拡に向かいかねません。冷戦停止以来、各国の防衛費と 核兵器の削減が進んだのに逆転。だからこそ 9 条はパンドラの箱の底にいる希望です。「国防強化が普 通の国だから」と、日本まで同調したら世界に戦争の火種がいっそう広がるでしょう。 緊張が続く東アジアで平和構想を提唱する資格は日本にこそあります。「敵基地攻撃能力」や 9 条改 憲を口にして、その資格を放棄するのは愚の骨頂です。
 横須賀母港とする原子力空母R・レーガンがG・ワシントンに交替する発表されました。自衛隊の基地機能強化も進んでいます。危険と隣り合わせの生活はゴメンです。予定されていた軍港クルージングは強風のため中止となってしまいましたが、平和を求める力を結集しフェスティバルを終了しました。



◆米空母母港化抗議!・・・ジョージ・ワシントンの配備撤回を求める10.4全国集会

 10月4日(金)横須賀ヴェルニー公園で、米空母母港化に抗議する集会が開かれました。
 1973年10月、空母ミッドウェイが横須賀に配備されてから51年を迎えました。2008年からは原子力空母となり、米国外で唯一の母港として世界各地の戦争へ出撃する基地となっています。
 現在配備されているロナルド・レーガンは、出航がたびたび延期されるなど、その要因に「動力系装備の不調」との情報が話されています。まさに、住民の安全を置き去りにして出入港を繰り返しています。
 今回、原子力空母がジョージ・ワシントンに交替することで、新たに米海軍のオスプレイCМV22が岩国に配備されてしまいます。今年8月には海老名市の田んぼにエンジントラブルで米軍機が不時着しました。オスプレイは2016年名護市で、2013年には屋久島沖で墜落しており、事故後飛行停止の措置が取られ、今年3月に解除されたばかりです。このようなものが大挙して空母とともにやってくるのです。憲法に基づいて専守防衛に徹し、軍事大国にならないとした戦後日本の防衛政策が、根底から大きく揺らいでいます。
 集会では、原子力空母の母港化撤回、「安保関連法」の廃止、「敵基地攻撃力」などの自衛隊強化反対を確認し、デモ行進を行い市民にアピールしました。


◆新たな公費投入ゴメンだ・・・大阪・関西万博とIR

 大阪・関西万博の開催まで7か月。夢洲では、施設の建設が突貫工事で進んでいます。隣のカジノを含む統合型リゾート(IR)予定地でも30年開業工事が本格化していますが、こちらでも赤信号が灯っています。
 万博会場・IR予定地の夢洲はゴミ焼却灰や土砂で造成された埋め立て地で、地盤沈下や液状化が指摘されていました。3月には、万博会場の工事現場でメタンガス爆発事故が起き、改めてリスクが明らかになりました。
 IRは25年春ころに施設本体の着工を開始し30年夏ころに終える予定です。大阪IRはIR推進法成立を受けて17年、大阪府・市と関西経済界でつくる「検討会」がIRを核とした国際観光拠点を目指す「夢洲まちづくり構想」の策定に始まります。こうした動きと連動するように、夢洲を候補地として万博誘致が当時の菅政権と大阪維新によって強引に進められました。
 維新は、IRに公費負担はないとぶち上げましたが、それは維新の大阪府・市には万博を名目に夢洲の基盤を整備し、その先にカジノを見込んだIR開業が見えていたからです。IR関連の地盤整備は事業者負担ですが、万博名目のインフラ整備なら公費が使えます。しかし、夢洲リスク、ずさんな計画のツケが現出しました。IR工事の中断による補償など新たな国費負担も浮上しています。自民・維新・財界の尻拭いはゴメンです。


◆マイナ保険証強制で混乱・・・「保険証」廃止を撤回せよ

 マイナンバーカードは任意取得です。しかし、政府・厚労省は現行の健康保険証を廃止し、マイナカードに健康保険証をひも付けたマイナ保険証に固執しています。政府がマイナ保険証を国民に強制する背景には、国民の医療情報を集積して活用したいという経済界の要請があります。
 しかし、ひも付けミスや負担割合の誤表示が昨年1万6千件も発覚、カードリーダーに「資格情報なし」と表示されるなどトラブルが多発しています。現行の健康保険証では起きないトラブルです。マイナ保険証を導入しても現行の保険証を廃止する制度上の要請はまったくないのです。廃止強硬に、国民の命より経済界の要請を優先する政府の醜い意図が透けています。
 マイナ保険証を利用していない人が、病院や薬局などで保険証の12月廃止を告げられ、「マイナ保険証」を作るしかないのかと悩んでいます。8月から使われている保険証の有効期限は来年7月まで。ところが、その後その保険証が1年間有効であることや、資格確認書の交付を政府が宣伝せず、健康保険組合など保険者から丁寧な周知がされていません。そのため医療機関や薬局でマイナ保険証がごり押しされているのです。住民登録者の74%がマイナカードを持ち、その79%がマイナ保険証登録をしながら、その使用は9.9%という現状です。マイナ保険証は国民に受け入れられていないのです。
 マインカード取得を促進するためにマイナポイントで使った総額は2兆1千億円。さらにマイナ保険証の利用が増えた病院や薬局に出す支援金というバラマキ・無駄遣いという問題もあります。そこまでしなければ普及しない制度は止めるしかありません。


◆「台湾有事」と横須賀の原子力空母問題・・・平和憲法を守る県民集会


  5月19日、平和憲法を守る神奈川県民集会が開かれました。呉東正彦弁護士(原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会共同代表)から、「『台湾有事』と、横須賀の原子力空母問題」のテーマで講演を受けました。
 「ウクライナやガザでの戦争がおさまらない中、「台湾有事」をあおる報道が後を絶たない。アメリカも日本も『台湾は中国領土の一部である』と認めているのだが、バイデン大統領は2022年5月の訪日時、台湾攻撃時に米国は軍事的関与をすると発言。台湾有事に中国に勝つために、米国はアジア版NATOが必要と。米国の同盟国として日本の基地を自由に使い、自衛隊が共に戦える体制作りを急ぐ。→安保法制、安保3文書、日米一体化のための統合作戦司令部とつながっている。
 実際に戦争が起こった場合、沖縄は勿論、横須賀や横田など軍事基地が攻撃の対象となる。緊張関係を緩和するための平時からの努力・運動が必要だ。改めて評価される憲法9条の優位性と日本の役割がある(平和外交)。紛争にいたる前に対立から和解へ(勝者のない長期戦から停戦へ)。
 横須賀では、いずもの空母化、海上自衛隊長浦桟橋、ひよう弾薬庫整備など基地機能の強化が進んでいる。米原子力空母Rレーガンは年内にGワシントンに交代となる。東日本大震災・能登半島地震など、大きな地震・津波が頻発している。横須賀に大きな原子炉が2つも存在する現実は大きな危険を伴う。
 戦争、被災の危険が現実化しつつある今、様々な市民団体による重層的な運動、女性や若者の参加する運動が必要。思いやり予算を削減させ、軍拡・増税を許さない闘いを」



◆軍事費削って対策を・・・能登半島地震

 250人近い死者・行方不明者、おびただしい建物崩壊、ライフライン崩壊などが起きた能登半島地震は、災害列島日本の災害対策の貧困を浮き彫りにしました。阪神淡路大震災(1995年)から今日までM(マグニチュード)7.0以上の大地震は4回起きています。台風被害や水害も毎年のように起きる日本は世界有数の災害大国です。
 しかし、能登半島地震に見られるように、被災者支援や救援体制はお粗末の極みです。国民は、自然災害だから仕方がない、支援はボランティアで、地元自治体でと思わされています。欧米で「体育館で雑魚寝」はありません。感染症の危険性が高く、段ボールの仕切りでプライバシーは守れません。避難所になる体育館の多くはエアコン未設置です。避難所で、おにぎりやパンなどの非常食。飲料水、トイレ、ふろ等々、被災者への人道支援活動のための「スフィア基準(人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準)」に遠く及ばず、災害関連死も防げません。
 日本と同じ地震国のイタリアでは、家族ごとの冷暖房付きの大きなテントにカーペットが敷かれ、人数分のベッド、シャワーやトイレは移動型のコンテナに設置されています。食堂は巨大なテントで、キッチンコンテナで調理された温かい食事が提供されます。温かい食事は、被災者を元気づけ、生活再建のためには欠かせません。
 イタリアでは年間約3000億円の国家予算で、全人口の0.5%にあたるテントやキッチン、トイレ、ベッドなどを備蓄・管理しています。日本の被災者対応は自治体丸投げ、そして、自衛隊の出動です。自治体職員は定期異動のためノウハウが蓄積されません。しかもかなりの割合が非正規職員です。自衛隊も救助活動は主任務ではありません。
 「平和戦略研」は、30年前に「日本に専門の災害救助組織を」と提言しています。提言では自治体の災害対処能力の向上とともに、3000人規模の内閣直属の大規模災害対処機関設置を訴えています。戦争準備の軍事費2倍化ではなく、首都直下地震や南海トラフ地震、風水害対策の予算を優先すべきです。


◆止まらないガザの虐殺・・・安保理の「即時停戦決議案」米が拒否権行使


 イスラエルがガザ地区南部に侵攻し、パレスチナ人追い出しの意図が鮮明になってきています。やまないイスラエル軍の蛮行と大量虐殺に、グレーテス国連事務総長は12月6日、安全保障理事会に国連憲章99条に基づく書簡を送り停戦に向けた行動を要請しました。
 グレーテス氏は、書簡でガザの状況を、「急速に大惨事へと悪化している」、「(社会秩序が)間もなく完全に崩壊」すると指摘し、「パレスチナ人全体、そして地域の平和と安全に取り返しのつかない影響をもたらす可能性がある」「そのような結果を何としても回避しなければ」と訴えました。
 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は12月5日、「圧勝するまで戦い抜く」と国際的な停戦要請を無視し、6日にはガザ南部最大都市ハンユニスを包囲しました。
 国連安保理は、アラブ首長国連邦が主導、100カ国以上が共同提案したハマスの人質解放と即時停戦を求めた決議案は、米国の拒否権行使で否決されました。(米国の拒否権行使は10月18日の戦闘一時停止の決議案に続く2度目)


◆「死の商人」国家を許せない・・・与党の「武器輸出」協議

 岸田政権の軍拡路線の下で自公両党は、武器輸出のルールを定める「防衛装備移転三原則」の見直しを行っています。武器輸出は軍需産業の育成を進め、「死の商人」が跋扈(ばっこ)する国にするものです。
 武器及び軍事技術は「武器輸出三原則」を厳格化し事実上の全面禁輸政策がとられてきました。岸田政権は22年12月に閣議決定した「安保3文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)で安全保障政策の大転換を図りました。経団連も「防衛計画の大綱に向けた提言」で大転換の加速を求めています。
 岸田内閣は「安保3文書」を受けて、防衛財源確保法、防衛力産業強化法を強行、武器生産の促進と輸出への道を開いたのです。一方、自公の実務者協議のワーキングチーム(WT)は23年4月、「防衛装備移転三原則」の見直しに着手し、「ライセンス生産武器」の輸出で一致したのです。日本が米の軍需企業から取得した「ライセンス」で生産した武器を米国に輸出することを可能にしました。
 日本がライセンス生産している兵器は、迎撃用「地対空ミサイルパトリオット」、「多連装ロケットシステム」、F15戦闘機、輸送ヘリ「CH47」、弾薬などです。これらが米国経由で第三国に輸出されることも条件付きで可能となっています。第三国を経て戦争・紛争当事国にわたれば日本の兵器が戦場で使われることになります。
 こうした中で防衛産業の活性化が始まっています。三菱電機は、兵器関連の従業員を3年間で1千人、三菱重工は3年間で6千人の増員計画と設備投資の倍増を打ち出しました。日本は、武器輸出の「死の商人」を育成する国に変質しようとしています。
 武力で平和が作れないことは明かです。「不戦・非武装」の声を拡げましょう。

◆爆音のない平和な空を・・・第5次厚木基地爆音訴訟結審

 
第5次厚木基地爆音訴訟原告団(大波修二団長・大和市、綾瀬市など基地周辺住民ら約8000人)が、航空機の騒音によって被害を受けたとして、飛行の差し止めと約131億円の損害賠償を国に求めた訴訟が、11月1日横浜地裁で結審しました。
 米軍再編による空母艦載機が岩国基地へ移駐し、厚木基地の爆音が軽減するかのような報道もありましたが、在日米海軍司令部は、岩国移駐について厚木基地が「引き続き日米同盟にとって重要な基地」であると述べています。
 事実、岩国に移駐しないで残っているヘリコプターや輸送機は今まで通り飛行しています。厚木基地所属ではない米軍機の飛来、「欠陥機」「未亡人製造機」の異名を取るほど事故を多発させているオスプレイが頻繁に飛来しています。人口密度の高い住宅密集地の上空を飛び、万が一にも事故を起こせば、未曾有の惨事になることは明かです。多くの市民がオスプレイの騒音と事故に対する恐怖を訴えています。自衛隊機も厚木基地を本拠地として恒常的に飛行しており、爆音被害の解消にはほど遠い状況です。
 1日の最終弁論で、原告の代表者から「今も飛行機の爆音がかすかに聞こえてくるたびにイライラがつのり耳をふさぐことがある」と述べました。弁護団から午後8時から翌朝8時までの航空機飛行停止と騒音による健康被害の因果関係などを主張しました。



◆非核の街ヨコスを!・・・ピースフェスティバル開催

 
秋晴れに恵まれた10月22日、4年ぶり開催のピースフェスティバルが横須賀三笠公園で開かれました。米海軍横須賀基地に空母が配備され50年を迎えます。1973年初めての海外母港地として空母ミッドウェイが横須賀に配備されました。以降、米軍の前線基地として世界の紛争にかかわってきました。核持ち込みについては、米海軍兵士により「核兵器がミッドウェイによって日本に持ち込まれた」との軍法会議での証言や、「核搭載能力のある米艦船は、核を積んだまま外国の港に入っている」とするラロック米海軍退役少将の発言などで明らかになっています。
 ミッドウェイの母港化から35年、2008年には通常型の空母から原子力空母ジョージ・ワシントンに交代し現在に至っています。空母の原子炉の危険性は隠蔽されたままです。また、艦載機の墜落事故や、厚木基地周辺での騒音など周辺住民にも大きな負担を強いてきています。
 母港化撤回、自衛隊増強反対の声を高くアピールしました。



◆原子力空母配備を撤回せよ・・・空母母港化50年抗議集会

 
10月5日横須賀ヴェルニー公園で、米空母母港化50周年の抗議集会が開かれました。
 『米海軍が横須賀基地に空母ミッドウェーを配備したのが1973年10月、2008年からは配備艦が原子力空母となりました。2019年5月、当時のトランプ大統領は「横須賀は、米海軍と同盟国の艦隊が並んで司令部を置く世界で唯一の港」と表現し、日米の軍事一体化を礼賛しています。     安保法制の成立以降の海上自衛隊の著しい増強によって、この現実が構築されました。今後も、海上自衛隊の増強は、主力自衛艦「かが、いずも」の本格空母への改修、その改修後のステルス戦闘機F35Bの搭載と日米共同運用計画、トマホークミサイルの配備など止まるところはありません。
 米原子力空母の母港化撤回、「安保関連法」の廃止、「敵基地攻撃力」などの自衛隊強化反対を確認し、「戦争推進政策」に立ち向かう』との集会アピールを採択しました。集会後市役所前までデモ行進を行い母港化撤回などを訴えました。


◆政府・東電は核汚染水を海に捨てるな・・・放射能汚染水の海洋投棄

 政府と東電は、事故を起こした福島第一原発の核燃料デブリを冷却した放射能汚染水の海洋放出を強行しました。東電は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わず、処理水は発電所敷地内のタンクの貯留」を約束していました。地元漁民や関係者との約束を反故にしたのです。
 海洋放出の背景には、福島第一原発の廃炉完了を40年とし、これにあわせた政府・東電の施策があります。東電は汚染水について「これ以上タンクを増やし続けることはできない。放出するトリチウムは環境や人体への影響はほとんどない」とうそぶいています。そして政府・東電は、国際原子力機関(IAEA)の7月4日の調査報告書、「人や環境への影響は無視できるほど」が、安全性の「お墨付き」の用に宣伝しています。しかし、IAEAは原発推進、原子力の軍事利用(核開発)の防止目的の機関であり、地球環境や海洋汚染問題を客観的に評価することはできません。また、「海洋放出の方針も推奨、支持するものでもない」と留保をつけています。
 福島第一原発の汚染水は、通常の原発から出るトリチウム排水と異なり、核燃料デブリに接した汚染水には多くの放射性核種が混入・残留しています。海を核廃棄物のゴミ捨て場にする政府・東電の暴挙は決して許せません。



◆破綻明か 即刻廃止せよ・・・底なしのマイナ混乱

 
マイナンバーカードを巡るトラブルが続出しています。政府は制度健治と居直っていますが、制度の破綻は明かです。その極めつけは、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化するマイナ保険証です。全国保険医団体連合会の調査では、マイナ保険証が機能せず、患者が医療費の十割負担をした事例が700件を超えています。十割負担を避けるために受診を控えた例もあったというのです。マイナカードが国民皆保険制度を崩壊させるという危惧も抱かせます。「マイナカードの取得は任意であることに変わりがない」と繰り返していますが、保険証の廃止はカード取得の強要であり義務化です。
 行政のデジタル化の一番の目的は、個人情報の利活用です。行政にある個人情報を串刺にし、銀行口座を紐付け、健康保険証を一体化することで、個人情報を集積します。国民はマイナンバーカードによって権力に丸裸にされるのです。
 「マイナンバー 透けて見える徴兵制」という川柳があります。国民総背番号制度は国が数十年の歳月をかけ、執念深く進めてきました。秘密保護法、安保法政、共謀罪、重要土地規制法、攻撃能力保有等々、一連の戦争ができる国づくりを見れば、「徴兵制」をあながち絵空事とはいえない時代状況になっています。
 国はマイナカード普及のためにポイント付与とマイナ保険証という「アメとムチ」を駆使しました。任意取得という法律の定めを汚い手口で覆す手法は、法治主義・民主主義に反します。マイナ制度は即刻廃止すべきです。



◆核抑止力論の虚構も露呈・・・”醜悪”さらしたG7

 G7広島サミットは、まさに核廃絶を逆行させ、ウクライナ停戦を遅らせ、アジアの緊張を高めるものでした。「G7首脳声明」、「安全が損なわれない形で核のない世界」という「核抑止」論に貫かれていました。プーチン氏の核威嚇の実行を抑止するためには、ロシア以上の核保有が不可欠だというわけです。
  NATOへの米の核配備も、「安保三文書」と4月の米韓首脳合意に示された核の傘の強化も「威嚇」ではないのか。G7は核威嚇のスパイラルを加速しました。
 米の核の傘に依存する岸田政権が、「核のない世界」をかかげて広島サミットの議長国を務めること自体が背理なのです。しかも「核軍縮に関するG7広島ビジョン」は、「原子力エネルギー利用の促進」まで謳ったのです。
 被爆者のサーロー節子さんは、「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と述べました。



◆大波修二さん 10期目の当選・・・大和市議会議員選挙

 統一自治体選挙後半新社会党神奈川県本部は、大和市議会選挙に大波修二候補、横須賀市議会選挙に小室たかえ候補の2人を推薦し闘いました。
 
大波修二候補は、立候補者39名中23(定数28)1,982(前回1,963)で当選しました。今回、大波修二候補は急遽立候補することになりました。そのような中で後援会、知人、地元有権者、厚木爆同、相鉄労組、神奈川県私鉄、社民党、地元議員等、そして何よりも家族の支えにより勝ち取った勝利です。
 小室たかえ候補は、立候補者55名中43(定数39)1,352票で健闘しましたが落選でした。
投票日まで約2か月間、原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会の皆さん、そして支援者と共に運動を進めてきましたが及びませんでした。


◆平和憲法を持つ日本こそ平和外交を推進すべき・・・新社会党新春講演会


 2023 年1月22日、新春講演会を開催し、講師に孫崎 享さん(元外務省・国際情報局長元外務官僚で、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使)をむかえました。
 講演の冒頭に孫崎さんは、敵基地攻撃問題に触れ、敵基地攻撃で最も成功した例として旧日本軍の真珠湾攻撃をあげました。また、ドイツ軍の電撃作戦の例なども示し、その末路を見れば敵基地攻撃で国内を守れるはずもなく、敵基地攻撃論の矛盾を指摘しました。
 ウクライナでも、クリミア大橋の破壊の後のミサイルでの報復など反撃は敵基地攻撃より大きく、現代では露骨な植民地経営は金がかかりすぎると話しました。プーチン大統領が訴えてきたのは、ウクライナのロシア系住民を虐殺から守るという事と、NATO の東方拡大の阻止、だから和平の努力として、NATOの拡大を止め、東部・南部での選挙による帰属の決定、民族の自決で解決の方向に向かうべきと指摘しました。
 日本では改憲勢力が国会で三分の二を占め、防衛費の増大は当然の事の様に議論し、他方、公的年金の目減りも当然の様にしています。米国戦略の一翼を担う事を主目的とする防衛三文書などが成立しようとしており、明らかに戦争をする国に向かって動いてると警鐘を鳴らしました。


◆統一自治体選挙で自公政権に反撃を


 岸田政権は「敵基地攻撃能力」保有を柱とする「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定し、歴代政権が「国是」としていた「専守防衛」さえ根底から覆しました。大軍拡のために国民に大増税を強いる一方、社会保障や教育、生活予算を削る方針です。30年も続く経済停滞は、膨大な働く貧困層を生み、子供の貧困率が高止まりして歯止めの利かない少子化、GDPの2.5倍を超える借金など難題が山積みしています。
 また、福島原発事故がなかったかのように原発の最大限活用を打ち出し、原発の「基本政策」を180度転換しようとしています。政府が2021年10月に決定した「エネルギー基本計画」では、「可能な限り原発依存度を低減する」としていたのです。
 今年は統一自治体選挙の年です。平和が脅かされ、物価値上昇、年金額の減少、社会保障の切り下げなど、私たちの生活は厳しさを増しています。新社会党神奈川県本部は、大和市の大波修二市議会議員の再選を目指し闘っています。大波議員は第五次厚木基地爆音訴訟原告団長をつとめ、「私たちの街が戦場と化さないために」活動しています。統一自治体選挙で自公政権にNOを突きつけ岸田政権の退場を勝ち取りましょう。


◆戦争が廊下の奥で立ってゐた・・・2022年を回顧


 「戦争が廊下の奥で立ってゐた」-渡辺白泉の句が詠まれたのは1939年、太平洋戦争が始まる前々年です。現代の我々が「まさか戦争までは」との思いと重なります。少なくとも昨年までは、「敵基地攻撃能力保有」が当然のようにいわれ、防衛費が倍増し、南西諸島への「シェルター」建設が声高に叫ばれるようになるとは思わなかったに違いありません。
 今年は、10年ほ1年に短縮したような速度で戦争準備が進みました。安保関連「3文書」の閣議決定を控えた1ヶ月余りの間には、聞いたこともないような「計画」が連日のように報じられ、瞬く間に積み上がり、年末には「安保政策の歴史的大転換」が化け物のように姿を現しました。
 「抑止力」強化論に立つか、平和外交に徹するか、問題はまことにシンプルです。前者は「敵の抑止力」を肥大化させ、「核抑止力」競争に帰着します。後者は平和主義の憲法9条をもつ国として、「抑止力」削減の率先垂範により世界の軍縮に向かいます。「非武装・中立」のバージョンアップにつきます。

◆「電力ひっ迫」に乗じ原発政策を大転換・・・再生エネルギーへの転換を


  岸田政権は、「原則40年」とした原発の運転期間の撤廃に向けて動きだしました。「原発への依存度を下げる」と言っていた岸田首相が突然、原発の運転期間の延長や新増設、建て替え、次世代革新炉の開発などを推進するというのです。東電福島第一原発で未曾有の被害を出し、故郷を追われた周辺住民の傷はいまだ深く、廃炉など事故処理の見通しが全く立っていない状況で、ロシアのウクライナ侵攻などで起きた「電力ひっ迫」を口実としています。
 「原発復権」に向けた地ならしの舞台になっているのが、経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会」です。そこでの議論では、原発推進を前提にした意見が大勢を占め、原発を動かせば電力供給の安定化につながる温室効果ガスを出さず脱炭素化に役立つ、といった利点の強調がほとんどです。
 しかし、原発は、事故対策はもちろん、放射性廃棄物の処分や核燃料サイクルの行き詰まり、将来の経済性低下など、長年の懸案が山積みです。そうした点については表面的な議論に終始し、中身は深まっていません。

 再生エネルギーは、原発事故以降もその拡大が一向に進んでいません。巨大企業を中心とする原発システムに対し、再生エネルギーは地域に根ざしたエネルギーです。北海道における全域停電は、大規模集中発電から分散型発電への必要性を示しています。



◆軍備拡大は増税で・・・憲法9条の圧殺を狙う自公政権

 岸田・自公政権の日本の安全保障政策の大転換を目指す動きが急ピッチで進んでいます。防衛力の強化を国民全体の課題とし、「自らの国は自らが守る国民の防衛意識」の醸成とともに、防衛費の増額負担を国民全体にを求めています。
  今回の「安保3文書」の全面改定は、米国が中国を「挑戦者=仮想敵国」としています。米軍の「統合抑止力」は、対中国戦略を「第1列島線」とし、鹿児島・奄美大島から沖縄県宮古島、さらに石垣島、台湾、南シナ海にいたる地域を日米ミサイル攻撃網の壁をつくることです。
 既に対中国戦を想定し、11月10日から日米共同実働演習が行われ、自衛隊2万6千人、米軍1万人、豪・英・加が参加しています
 防衛費は5年間で総額43兆1000億円とする現計画では、毎年倍増の11兆円の軍事費となり、その財源は国民負担となります。
 この「安保3文書」は、「非戦・非武装」を掲げる憲法9条を完全に空洞化させます。武力で平和は守れません。今こそ日本の「平和外交」を求める声を強めましょう。


◆原子力空母ロナルド・レーガン横須賀配備抗議!母校化撤回を求める10.1全国集会

 1973年、米海軍横須賀基地に通常動力空母ミッド ウェーが入港しました。数年程度といわれた母港化は49年が経過し、2008年からは原子力空母の配備となりました。現在は、ロナルド・レーガンが配備されています。この空母を中心に最新鋭BMD(弾道ミサイル防衛)対応艦を含め、米海軍の能力はきわめて高く、世界有数の巨大軍港・出撃基地となっています。米国外で唯一の原子力空母の母港化は、原子炉の危険性を隠蔽し、住民の安全を置き去りにしたままです。
 安保法政の成立を背景とする海上自衛隊も増強を続けています。主力護衛艦「いずも」は、本格空母への改修が進行しています。改修後には、米軍ステルス戦闘機F35Bの搭載・使用、自衛隊同型機の配備が検討されています。
 また、米海軍横須賀基地排水処理場の排水からは、人体に有害な有機フッ素化合物が検出(目標値171倍)されています。これらの化合物は、発がん性のリスクなどが明らかになり国内外で製造や使用が規制されているものです。集会では、原子力空母の母港撤回、「安保関連法」の廃止、「敵基地攻撃力」などの自衛隊強化反対を確認しました。     



◆安倍元首相の国葬に反対する

 第26回参議院選挙、護憲派の目標である3分の1議席の確保は達成できませんでした。改憲勢力に3分の2議席を許すことになり、危うい政治情勢となっています。
 この選挙中、安倍元首相が凶弾にたおれました。政府は、9月下旬に日本武道館で国葬を執り行うとしています。しかし、安倍長期政権への国民の評価は大きく分かれています。解釈改憲による集団的自衛権行使を可能にした「戦争法」をはじめ一連の悪法を成立させました。また、森友・加計・桜を見る会などの公文書改ざんや廃棄など、将来の社会に伝えるべき歴史そのものを変える政権運営を批判する声は大きいものがあります。さらに、格差と貧困に苦しむ国民の生活は、アベノミクスの失敗、新自由主義政策を一度として省みなかった政策によるものです。
 これらを不問にするかのように、すばらしい貢献をした政治家と礼賛し、国民に弔意を求めることはあってはなりません。「国葬」には法的根拠がなく、時の政権が恣意的に葬儀を利用することは許されません。



◆改憲勢力の暴走は許されない

 7月11日に投開票された参議院選挙で、神奈川選挙区(改選4議席、欠員1議席)では、自民2、公明・維新・立憲が各1議席(立憲は3年の任期)の結果に終わりました。改選議席の4議席を改憲勢力が占めるという結果です。
 全国的にも護憲派の目標であった三分の一議席を確保するという目標は達成できませんでした。岸田首相は大勝を受け、早期の改憲発議を表明しています。ウクライナ情勢を利用して、反撃能力=敵基地攻撃能力も含めたあらゆる選択肢を排除しないとして軍事費の増大をもくろんでいます。
 今回の選挙では野党共闘の取り組みが乱れ、自民党の大勝を許す結果となってしまいました。もう一度、護憲派の共闘が求められます。


◆参議院選挙 全国比例区におかざき彩子さんを擁立

 新社会党は先の全国大会で、参議院選挙全国比例区候補者に、社民党枠でおかざき彩子を擁立することを決めました。
 憲法を尊重し擁護する義務を負っているはずの国会議員ですが、人間の尊厳にかかわる条項や、平和憲法の根幹である9条の改悪を公言する人たちが台頭し始めていることに、とても危機感を持ちます。「人間を大事にする」ための様々な権利条項を徹底させることは、生活を支える最も大きな力であり、戦争を否定できる力だと、私は思います。
 参議院選挙では、憲法をしっかり生かす議員を一人でも多く議会に送るために、野党間の共闘は必要です。私も、その役割をもって頑張っていきます。皆さん、一緒にたたかいましょう。
プロフィール
     ・1980年2月8日兵庫県明石市生まれ
     ・神戸市立葺合高校英語科卒業
     ・神戸市外国語大学外国語学部国際関係学科卒業
     ・2009年から新社会党兵庫県本部に勤務
     ・2021年から新社会党兵庫県本部書記次長に就任
      その間、あかしユニオン、憲法を活かす明石の会、新社会党の青年女性運動などで活動。


◆ウクライナを奇禍に悪巧み・・・安倍は日本のプーチン

 ロシアのウライナ侵略は、市民の犠牲と原発攻撃という深刻な事態となりました。新社会党はロシア軍の撤退と即時停戦を求めます。米国は軍事の行使と核の威嚇で米国中心の国際秩序を強要してきました。米国は「すべての責任はロシアにある」と糾弾していますが、ソ連崩壊後、米国を盟主とするNATOはロシア周辺への軍事的包囲網を拡大してきたのです。
 安倍元首相は、「ウクライナは核を保有していないから侵略された」と「核のシェアリング(共有)」の議論を提唱しています。「非核三原則は議論してもおかしくない」(菅前首相)、「核共有による防衛力強化等に関する議論の開始」(日本維新の会)などの動きも出ています。
 自民党や維新による「ウクライナの次は台湾」という扇動を背に、「敵基地攻撃能力保有」や「防衛費倍増」を強行する腹づもりです。積年のNATO拡大へのロシアの反発を直視せず、中国の鼻先の沖縄・南西諸島の軍事基地化を米国と一体で推進すれば、それこそ中国の軍事力拡大と緊張激化が進みます。
 反戦と反核の世論を高め、「武力で平和は創れない」という真理に向き合うか、泥沼にはまるか、瀬戸際にあります。 



◆戦後76年 中国とどう向き合うか・・・新社会党講演会

 2022年新社会党講演会が、1月23日、浅井基文さんを講師に招き開かれました。
 自民党は、嫌中感情を煽り国民世論を誘導し、憲法改悪を押し進めています。いま日中関係は、国政を揺るがす一番大事な「テーマ」です。日本は「日米同盟」の名のもと米国の言いなりで、奄美・沖縄諸島にミサイル基地を作っています。歴史の事実をもとに、この現状と私たちのとるべき対応を語っていただきました。講演の全容については、次のアドレスから入ってください。
https://youtube/8bxGhX1DJ4o   当日講演会レジメは 


◆軍拡は加速、分配は貧弱・・・22年度政府予算案

 22年度当初予算案は、107兆6千億円で過去最大です。しかも21年度補正予算36兆円と一体の「16ヶ月予算」として編成され、合計143兆円を超えています。歳入では税収を過去最大の65兆円超、新規国債発行を21年度当初を下回る37兆円弱としました。経済成長を過大想定し、税収増で国債発行を少なく演出したものです。
 税収のうち、消費税収は21兆5730億円を見込み、所得税や法人税を上回っています。消費税は20年度から最大税目となっており、消費税率の引き下げが喫緊の過大となっています。
 「16ヶ月予算」の恩恵は防衛省に向けられ、補正と当初予算を「防衛力強化加速パッケージ」と命名し、合計金額は6兆1千億円超の巨額になっています。適地攻撃能力に繋がる長射程ミサイル開発など、周辺各国の新たな軍拡を招くものとなっています。
 当初案での沖縄関係予算は、2684億円で、昨年度から326億円も減額されています。とくに県が自由に使える一括交付金は219億円も減らされています。一方、県を通さず直接市町村に交付する特定事業推進費は概算要求通りの80億円にと、楯突く玉城県政にムチを、従順ならアメを与える露骨な差別・分断攻撃です。
 補正でコロナ対策を含め18歳以下一人10万円給付、当初で看護・介護労働者等の賃金3%アップ、また「労働移動の円滑化」等として補正と当初で計2043億円を並べました。実に貧弱な「分配戦略」です。今日の貧困と格差の解決には、法的に非正規・不安定雇用を規制・制限すべきです。



◆人を大切にする政治実現へ・・・「安倍・菅」との真の決別を

 自民党は新総裁に岸田氏を選出、新政権がスタートしました。2012年暮れに第二次安倍内閣が発足、「安倍首相・菅官房長官」のコンビが生まれました。13年に「特定秘密保護法」を強行、14年には「内閣人事局」を設置し、官房独裁体制の基盤を固めました。そして、内閣法制局人を強行採決し、海外での米国の戦争に無制限に参加することを可能としました。さらに17年には、共謀罪を強行、「戦争ができる国」へと法整備を進めました。
 一方、17年には「森友・加計学園」疑惑が発覚、刑事告訴を封印するため検事総長人事介入を狙い、「官邸の守護人」と揶揄された東京高検検事長の定年延長を画策しましたが、世論の猛反発で茶番となりました。公金横領・サクラ疑惑も吹き出しました。
 安倍氏の病気を理由とした政権投げ出しを受け、菅政権が誕生しました。その最初の仕事が日本学術会議人事への介入です。
 20年度の法人統計によると、「資本金10億円以上の大企業の内部留保は466・8兆円で、過去最高となり、株主配当は19年度比で11%増と膨らんだ。」が、労働者の賃金は1.2%減となっています。富めるものはさらに富み、貧しきものはさらに犠牲となっています。
 菅氏の政権投げ出しは、コロナ禍への無策の結果ですが、根底には安倍首相とともに9年間にわたって国民に「自助→共助→公助」、つまり自己責任を押し付けてきた新自由主義政治の破綻があります。国民の命を守ることこそ政治の最大の使命ですが、10万人を超える自宅療養者など、それを果たせない菅政治が退場するのは当然です。その安倍・菅体制を支えてきたのが与党=自公です。表紙替えの新政権に総選挙で政権交代を突きつけましょう。



◆IRの中止を決定・・・山中氏横浜市長に当選

 横浜市長選は22日投開票され、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に「反対」の立場で望んだ元横浜市立大教授の山中竹春氏(48)が初当選を決めました。今回の市長選では、林氏が2年前に決めたIR誘致とコロナ対策などを争点として闘われました。元国家公安委員長の小此木八郎氏(56)や現職の林文子氏(75)らを破っての当選です。IR誘致については、昨年20万筆を超える住民投票条例制定を求める署名が集められました。しかし、市議会自民・公明党議員などの反対により市民の声はつぶされてしまいました。
 今回の選挙では、自民党から出た候補がIR誘致に反対するなど争点隠しもみられましたが、市民の支持を集めた山中候補が大差で当選しました。山中候補は早速カジノ誘致の停止を宣言しました。



◆日米軍事一体化と神奈川の基地・・・平和憲法を守る神奈川県民集会

 5月29日かながわ平和憲法を守る会主催の県民集会が開かれました。集会では呉東 正彦弁護士から、「日米軍事一体化と神奈川の基地」のテーマで講演をいただきました。
 講演では、『日米共同演習の激化、中東派遣の長期化など集団的自衛権の具体化が進み、県内の軍事基地でもその機能強化が進んでいる。横須賀では、米海軍浦郷弾薬庫桟橋整備、横須賀基地バース改修、イージス艦隊増配備など。厚木基地ではCBRN訓練の実施、P1、オスプレイの飛来も増加している。三菱本牧造船所では、イージス艦に続き補給艦ラパハノックの修理が行われている。』とその実態が語られました。
 安全保障上重要な土地取引の規制法案(3月27日衆議院提出)については、『自衛隊や米軍の基地、原発の敷地および1㎞以内の土地、国境離島を注視区域に指定し、土地建物所有者調査を可能にする。国が重要施設の機能を阻害すると判断した場合には、利用の中止勧告や命令を出すことができ、応じなかった者には罰則を課すというもの。戦前のように市民の活動が監視され制限されるものだ』とその危険性を指摘しました。  
 
大波修二大和市議会議員(第5次厚木基地爆音訴訟団団長)からは、CBRN対応訓練について報告がされました。CBRNとは、化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)の頭文字で、これらを用いた兵器をCBRN兵器といいます。米軍は2月5日から9月30日までの長期間に渡るCBRN対応訓練を続けています。核兵器禁止条約、生物兵器禁止条約などで製造、保有、使用が禁止されている兵器の使用を想定とした演習は、到底認められません。厚木爆同や住民団体などが抗議行動を続けています


◆中止を決断すべきときだ・・・東京オリ・パラ

  新型コロナの感染者が世界で1億人を超えました。どの国も今夏の東京五輪・パラリンピックどころではないのが実情です。国際世論は中止論が高まっており、日本国内でも「再延期・中止」は8割を超えています。日本では、緊急事態宣言が再び発令されました。医療体制の困難も急増しており医療崩壊の危機に瀕しているのです。
 多くの国々は海外からの厳しい入国規制を敷き、国境線は事実上ロックダウンの状態にあります。どこの国もオリ・パラどころではないのが実態です。中止論が国内外で高まっているのは当然です。
 新社会党は、20年の東京オリンピックの招致に反対してきました。11年の東日本大震災からの復興も、被災者救済も、原発事故処理もまだ途上にあるからです。しかし、当時の安倍首相は、多くの反対を押し切って招致したのです。今また、コロナ禍で苦境に立つ国民や、中止の世論に背を向け、菅首相は1月7日の記者会見で「ワクチンの効果が出ることで東京五輪開催に対する国民の理解が得られる」と強弁しました。
 東京大会の中止に関しては、選手達には大変気の毒ですが、スポーツどころか、明日の生活の不安に苛まれている母子たちも多いことを忘れてはなりません。いつの間にか総額3兆円超に達した五輪費用(招致時の計画は7,340億円で世界一カネのかからない五輪といっていた)、これだけの費用があれば、ひっ迫する医療現場で必死に頑張っている人々、さらにはコロナ禍で自死者が増える中、仕事を失うなどした生活困窮者や学費が払えない学生などへの支援に当てることが出来たはずです。
 直ちに東京五輪中止を決断すべきです。



◆敵基地攻撃論は、際限なき軍拡への道・・・新社会党県本部新春講演会

  1月24日、杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク代表)をむかえ、新春講演会を開きました。講演の中で杉原さんは先ず「戦争法」「平和安全法制」や「武器の輸出」「防衛装備の移転」など言葉の言い換えに注意を呼び掛けた上で「攻撃能力」とは「殺傷能力」に他ならないと指摘しました。
 6年連続で5兆円を超えた防衛予算には、ミサイルの射程距離の延長やステルス戦闘機の購入、護衛艦の空母への改装、人工衛星の軍事利用の研究費、そして敵基地攻撃力保持に繋がる地対艦誘導弾性能向上費等が盛り込まれています。また、尖閣諸島の危機を煽るのも「離島防衛」を口実に攻撃型兵器の増強を図るもので、米中間の軍事衝突に日本が巻き込まれる危険性も指摘しています。 この問題は昨年7月の市民憲法講座で元東京新聞論説委員の半田滋さんも取り上げており、中東などどこでも場所を選ばない攻撃能力の保有につながる危険を訴えています。
 昨年12月に発表された第5次アーミテージ報告は「中国の脅威」を強調し、これに対抗するため日米同を「相互依存」にまで高める必要性を説いています。これ以上の軍拡と米軍との一体化は、近隣諸国との緊張を高めるものでしかありません。



◆新型コロナ感染対策を急げ・・・21年度の政府予算案

 21年度政府一般会計予算案は、20年度第3次補正予算案と一体の15カ月で計130兆円に迫ります。コロナ対策を謳っていますが、実際にはデジタル化・脱炭素など経済構造転換への財政支出が多く並んでいます。
 20年度第3次補正予算案での追加支出額は21兆8353億円に上ります。しかしコロナ感染対策は4兆3581億円のみで、大半はポストコロナの経済構造転換のためです。補正予算は「緊要な経費」(財政法)のためにあり、ポストコロナの計上は財政法に反しています。 21年度当初予算案は、106兆6097億円と3年連続で100兆円を上回りました。歳入を支えるのが国債43兆5970億円の新規発行と消費税税収の20兆2840億円です。消費税収入は20年度から最大税目となり、法人税約9兆円の2倍を超えています。大衆消費課税を基幹とする税収が構造化しています。コロナ対策を含め、消費税率引き下げが喫緊の課題です。
 防衛省当初予算案は5兆3422億円で、7年連続で過去最大を記録しています。敵基地攻撃能力保持に繋がる地対艦誘導弾性能向上に335億円を盛り込んでいます。
 当初予算案でコロナ感染対策は、予備費5兆円を計上しました。臨機対応のコロナ予備費は、1次・2次補正で11兆5千億円組まれましたが、4兆6千億円が使途未定で、執行も遅れています。全自動PCR検査装置やエクモカー(走るICU)を政府購入し各地に配置するなど、生命と生活を守る施策を早急に実施すべきです。



◆コロナ無策 生活無視・・・菅政権 不公平を拡大

 菅政権は急拡大する新型コロナと支持率の急降下によって12月14日、年末始のGоTоトラベル中止に追い込まれました。しかし、「飲食時もマスクを」とか、時短営業を求めてもGoToイートは止めません。あまりにも無責任・お粗末で、政権は早くも末期症状です。
 第二次補正の予備費(10兆円)で未使用の7兆円のうち11日に閣議決定した3856億円の柱は、GOttoトラベルの追加支出で3119億円、全体の81%を占め、Goto事業ごり押し姿勢を変えようとしません。この閣議決定では、低所得のひとり親世帯に対する臨時特別給付金の再支給(1世帯当たり5万円、第二子以降1人につき3万円)はわずか737億円に過ぎないのです。
また、来年度の政府税制大綱は金融所得の税負担は20%のままで、検討すらしませんでした。少なくとも税率引上げや超過累進税率にし、応分の社会的責任を巨大企業や富裕層に果たさせるべきです。


◆カジノの是非は住民投票で・・・署名20万筆を超える


 横浜市のカジノを含む統合リゾート(IR)誘致の賛否を問う住民投票に向け、9月4日から11月4日までに集めた署名簿を各区の市民団体が11月13日一斉に提出しました。署名数は18区全体で法定数の3倍を超える208,073筆に達しました。
 署名活動には数多くの「受任者・サポーター」が参加し、政党では立憲民主党、共産党、社民党、新社会党、緑の党、神奈川ネットワーク運動が参加、労働組合も協力するなど幅広い多くの市民・団体が結集しました。
 林市長は13日の定例記者会見で約20万の署名が集まったことに対し、「IR誘致に関心があること、ご心配されていることが表れたと認識している。適切に手続きを進めたい」と話しました。横浜港ハーバーリゾート協会の藤木会長は、IR誘致について「命がけで反対する」と認めない姿勢を改めて表明しました。また、来年夏の市長選にも言及、誘致を掲げる候補者は「支持どころではない」とのべました。横浜市民が「賭博の街」を拒否するか、選ぶか、民意が問われます。



◆目的は軍事研究の強制だ・・・日本学術会議任命拒否

 
憲法学者の石川健治・東大教授は、「学問の自由の核心は、専門分野の自立性を守ること。その防波堤である日本学術会議に対して人事介入が行われた」と記者会見で指摘しました。
 菅首相は6名の任命拒否について、「総合的、俯瞰(ふかん)的判断」など意味不明の発言を繰り返した挙句、NHKの報道番組で「説明できることとできないことがある」と居直っています。
 戦争に協力した苦い反省に立つ学術会議設立の原点と、3度の「軍事研究はしない」との声明を破棄させ、学者・研究者を軍事研究に協力させる変質を押し付けようというのです。井上科学技術担当相は、自民党の山谷えり子議員への答弁で、研究成果が民生と軍事の両面で使われる「デュアルユース」(軍民両用)について検討するよう学術会議の梶田会長に伝えたというのです。山谷氏は、学術会議の軍事研究忌避問題と任命拒否は無関係と強調しましたが、任命拒否直後に自民党内で会議の組織改革を検討するプロジェクトチームが立ち上がったのは、「軍事研究に協力」という最終目的を見据えた拒否であることは推測に難くありません。



◆「敵基地攻撃」論・・・究極の9条破壊に踏み込む

 日本のミサイル防衛は朝鮮の弾道ミサイルなどを想定し、「イージス・アショア」の配備計画を進めてきました。しかし、計画の中止決定を受け政府は、「敵基地攻撃能力」保有の検討を再開しました。
 敵基地攻撃論は1956年、鳩山内閣時に生まれましたが、その後の政府見解で敵基地攻撃論は事実上否定され、1970年の防衛白書は「我が国に侵略があった場合」を前提とし、専守防衛を基本とした装備と防衛戦略に限定されました。攻撃型空母や長距離爆撃機などの保有はできないとし、航空機の空中給油装置等の装備は取り外すなどをしてきました。
 しかし、2000年代に入ると朝鮮のミサイル発射実験の対応に関する与野党の論戦の中で「敵基地攻撃論」が浮上しました。今回の敵基地攻撃能力の保有論はかつてなく具体的であり、踏み込んだものになっています。
 自民党の提言は、「日本が攻撃される可能性が相当高い」と判断すれば、「敵が武力攻撃に着手した時点で先制攻撃する」としています。これらの基地に先制攻撃すれば、全面戦争になります。いたずらに東アジアの緊張を煽るのではなく、憲法に立脚した敵を作らない外交に転換することです。


◆菅内閣の「基本方針」・・・公助の強化こそ必要なのに

 
9月16日に発足した菅内閣は、初閣議で「我々の目指す社会像は自助・共助・公助そして絆」とする基本方針を決定しました。
内閣の基本方針とその後の記者会見で首相は新型コロナ対策やアベノミクスを継承するとしています。
 首相の言う「自助・共助・公助」は2010年自民党の綱領にあり、そもそも1950年の社会保障制度審議会の勧告にも見られます。戦後の社会保障を貫く基本理念で新味はないとする向きもありますが、果たしてそうでしょうか。
 男性稼得者が容易に職を見つけ定年退職まで家族を養い続けられる世の中は、とっくに崩されています。「共助」の中心的制度たる年金、医療、介護等の社会保険は少子高齢化の影響もあって持続不可能になっています。
 だが、自公政権は法人税を引き下げる一方で消費税を引き上げ、勤労者への負担転嫁を強行しています。自助・共助が困難な今日こそ、公助の仕組みを強化し再設計しなければなりません。そのような時代の「自助」の強調は保守を装う新自由主義に他なりません。


◆コロナ禍 生活守れない・・・最賃据え置き「答申」

 中央最低賃金審議会は7月22日、「引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」として、2020年度地域別最低賃金の目安を示さない不当な答申を行いました。
 コロナ禍は低所得者層ほど強く影響を受け、収入が低下したことが明らかになっています。経営側の「雇用を優先」に押し切られた最賃据え置きは許されません。1000円を超えているのは東京都と神奈川県、加重平均の901円を超えるのは7都府県に過ぎません。800円に満たないDランクが17県もあり、沖縄県をはじめ15県は790円で東京都との格差は223円もあります。この格差はこの13年間で、109円から倍以上になっています。
 一握りの大企業が莫大な利益を上げ、株主配当と内部留保を拡大する一方、圧倒的多数の働く者の生活は苦しくなっています。非正規労働者は全労働者の4割、年収300万円未満の労働者は6割余りです。全国最賃平均の901円でフルに働いても年収173万円余り、ダブルやトリプルワークをせざるを得ない実態です。
 「最低生計費資産調査」では、若者が自立して暮らすには、全国どこでも月額22~25万円(時給1500円程度)が必要です。そのため労働者が都市部に流出し、地方経済の疲弊が加速しています。今こそ、最賃引上げで生活水準の底上げが急務となっています。



◆育鵬社の教科書不採択・・・横浜市教育委員会

  横浜市教育委員会は8月4日、来年度から4年間使う中学校教科書を採択する教育委員会定例会が開催されました。
 横浜市では2010年度に自由社の歴史教科書を使い、今回の採択では歴史・公民共に12年度から育鵬社を使ってきた育鵬社を選ばず、歴史は帝国書院、公民は東京書籍が選ばれました。
 委員会の6人は鯉渕信也・教育長、大場茂美・元副市長、中村幸子・元市立学校長、森祐美子・保護者委員・NPO法人理事長、木村昌彦・横浜国大教授、四王天正邦・元会社社長が出席。冒頭、採択する教科書の採択方法について図られ、無記名投票に決まり、投票で帝国書院4票、育鵬社2票で帝国書院が決定されました。
 今回の育鵬社不採択のスタートは大阪四条畷市。続いて東京都立中学校、特別支援学校など東京で育鵬社が一掃、大阪河内長野市、ついに藤沢市から育鵬社が消え、この流れを横浜に呼び込めるのか不安と期待の毎日でした。当日「波止場会館」で視聴し、育鵬社不採択がわかった時、会場では大歓声が沸きました。



◆検察をめぐる一連の騒動・・・元凶は安倍首相の疑惑だ

 「官邸の番人」と揶揄され東京高検検事長を辞職した黒川氏の定年延長問題が発端の政治の混乱は、モリ・カケ、サクラ等の疑惑封じを狙った安倍政権の検察人事への介入が原因です。
 首相官邸は、「稲田検事総長に混乱の責任を取るよう求めた模様」と毎日新聞が報道(5月22日)しましたが、今回の混乱は安倍首相が立憲主義を蹂躙しながら7年半も続けてきた一強体制で権力を私物化してきたことによるのは明白です。姑息にも法務・検察当局に責任転嫁して収拾を図り、延命を画策する安倍政権が許されることがあってはなりません。
 検察官は刑事事件の被疑者を訴追する強い権限を持ち、内閣総理大臣を逮捕・起訴することもあります。被告になる可能性がある政治の側が検察官の人事を行うことになれば、三権分立と法の支配が破壊されることは言うまでもありません。
 モリ・カケ、サクラなど安倍首相にまつわる疑惑を不問にした「功績」が「余人を持って代えがたい」と、検事総長がらみの定年延長となったという指摘は説得力を持っています。



◆コロナ「出口」論の危うさ・・・実態の把握内日本政府

 
新型コロナ規制の「出口」議論が活発です。安倍政権は、科学的根拠もなく、命と経済を天秤にかけるような姿勢が見えます。EUでの「再開3条件」は、①感染拡大の鈍化が再生産数①未満になること(超えれば規制を再強化)、②PCR検査能力の大規模な拡大。例えば独は1日7万件を14万件に(人口比で日本の14倍)、③第二波に備え十分な医療体制の拡充(人口10万人当たりのICUは独29、日本7)。大量検査を経て陽性者を隔離し陰性者で経済活動再開に当たるというものです。
 一方で「命を守るため経済活動の停止に協力するが、生きる権利は国が補償せよ」の声のもとに、米国も含めコロナ対策財政支出の大部分が、人民への直接給付と医療体制充実に当てられました。
 日本はどうか。遅くとも秋には感染拡大の二派というのは医療関係者の共通見解です。国はPCR検査を抑制し「再生産数」も根拠を示せず、5月14日の「専門家」の見解にも入れられませんでした。専門家会議の尾身氏が国会で「感染者数は、確認の10倍か15倍か、20倍か誰もわからない」と告白するのに、安倍首相は「終息に向かっている」と口走っています。
 一方、様々な業種で自ら命を絶つ報道が続いています。10万円再支給を求める声は無視し、第二次補正もケチるために「終息」ムードを広げています。PCR検査を韓国並みに行って実態把握し、第二次補正で給付と補償を拡充、医療・介護・保育などを補強して秋以降に備えるべきです。「コロナ緊急対策に8千億」という小池都知事も、追加費用数千億円のオリンピックの中止を早く提案すべきです。



◆〝高止まり〟の背景に何が・・・自殺者2万人割れ

 3月は「自殺予防月間」です。2019年の自殺関する厚労省の速報値では、自殺者数は2万人を下回り過去最少と報告されています。しかし、高止まりのままなのです。
 日本の自殺統計は、1978年に始まりました。96年橋本内閣での「構造改革」と、97年の消費税3%から5%への引上げなどの影響で、98年に3万人を超えています。以降14年間にわたり3万人を超え、12年に2万人台、19年は2万人を割りそうだということです。(確定値は3月末の予定)
 神奈川でも1057人が命を絶っています。今年の速報値に年齢や原因はないので、18年のデータで見ると年代別は50歳代、40歳代、60歳代の順で家計の支え手である男性が多くなっています。職業別では無職者、被雇用者・勤め人、自営業・家族従業者、学生・生徒の順です。原因・動機別では、健康、不詳、経済・生活、家庭、勤務の順で、健康問題が半数を占めています。無職者が多いのは、失業が背景にあると考えられます。
 経済・生活問題では、低賃金や生活保護などの社会保障施策に繋がっていないことが想定されます。勤務問題では、長時間労働による過労自殺やセクハラ・パワハラの原因が見て取れます。
 自治体やNPO法人などのきめ細かい取組み、それらへの政府の財政を含む支援の強化が求められます。



◆検査体制なくて対策なし・・・広がる新型肺炎

 
安倍政権は、オリンピック優先で新型コロナウィルス感染の広がりを隠ぺいしようとしています。検査をサボって深刻な事態になると、「一斉休校」で混乱はさらに拡大しています。検査の拡充なくして有効な対策はありえません。
 国内発症から1ヶ月半、政府は感染拡大の実態を解明しようとしませんでした。それは、「PCR検査」の拡充を拒んできたことから明白です。「高熱が続く子の検査を求めても保健所で断られる」という母親の悲痛な叫びは氷山の一角です。
 識者は保険適用し民間機関を活用すれば、いくらでも検査は可能と指摘してきました。日本は2月末でも1日数百件という状態です。公表感染者数を意図的に「少数にした」と考えるほかありません。
 高齢者は新型肺炎でなくとも、早く検査しなければ命に関わります。感染していることに気づかずに電車などで通勤すれば、感染は拡大します。軽症のうちにこそ検査すべきです。しかし、感染拡大と世論の批判に窮し「保険適用」「一斉休校」になりました。だが、なぜ画一的な休校なのか科学的な根拠はありません。
 対策費も韓国の1兆4千億円に対し、日本は150億円です。安倍政権が示した労働者の休業補償などは、企業への助成金方式が主体です。雇用形態の多様化や自営業者も考えれば、個人に直接支給する「直播」方式が有効です。いずれにせよ、全国的な検査によって実態を把握しなければ対策も立てられません。



◆野党と市民の力で改憲・カジノ誘致を阻止しよう・・・新春の集いを開催

 「桜を見る会」疑惑やカジノ汚職での自民党国会議員の逮捕、元閣僚2人らの公選法違反、憲法違反の自衛隊の中東派兵など、国会では冒頭から野党追及の場となっています。桜を見る会など安倍政権の国政私物化や汚職・データ改ざん・隠ぺい等、何でもありの国政運営に対する追求に期待が寄せられます。
 1月26日、新社会党神奈川県本部は新春の集いを開きました。昨年の参議院選挙では、野党共闘の力で自公政権の3分の2議席獲得を阻止することができました。今秋には解散・総選挙も想定される中、さらなる野党共闘の実践が求められています。集いに参加した共産党、立憲民主党、社民党、緑の党からも、安倍政権への疑惑追及と安倍政権打倒に向けた決意が熱く語られました。また、林横浜市長が強引に進めるカジノ誘致に反対していくことが確認されました。

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 集いの前段に開かれた講演会には、弁護士の内田雅敏さんを迎えました。新聞・テレビなどを通して、連日韓国バッシングが繰り返されている真相について話をしていただきました。
 バッシングは元徴用工被害者に対する韓国の大法院判決がきっかけです。大法院は元徴用工被害者と遺族の慰謝料請求を認め、日本製鉄に対し一人1億ウォン(約950万円)を支払うよう命じました。65年の請求権協定では植民地支配に基づく強制労働の慰謝料請求権の問題は入っていなかった、請求権協定で放棄されたのは国家の外交保護権であって、個人請求権そのものは放棄されていないとしたのです。
 この見解は当時の日本政府も同じで、当時の椎名外相は「無償3億ドルは独立祝金であって、植民地支配の清算金ではない」(参議院本会議答弁1965.11.19)と語っています。また、外務省の柳井条約局長も「放棄されたのは国家の外交保護権であって、個人の請求権そのものは放棄されていない」(衆議院予算委員会1991.8.27)と答弁しているのです。
 また、大法院判決では「請求権協定の交渉過程で、日本政府は植民地支配の不法性を認めないまま、強制動員被害の法的賠償を徹底的に否認し、これに伴い韓日両国の政府は日帝の朝鮮支配の性格に関して合意を得ることができなかった」と指摘しています。日本政府側が一貫して、植民地支配は合法であったと主張し、植民地支配の精算の必要性を認めなかったのです。



◆米国への義理立て・・・姑息で危険な「忖度」派兵

 
安倍内閣は、米国の対イラン有志連合構想に呼応、ジブチの自衛隊に加え中東海域への護衛官派遣を準備しています。米国主導の対イラン軍事圧力への事実上の加担で、自衛隊の海外での行動を恣意的に拡大する危険な道です。
 今回の危機は、イランと米英仏独中ロの「核合意」(15年、安保理も承認)からトランプ政権が一方的に離脱、制裁を強化したことが原因です。イランを〝ならず者国家〟とする米国は、各国による調停も拒否しました。原油の全面禁輸も世界に強制しています。今春のタンカー攻撃事件を機にイランへの軍事圧力を強め、7月に各国に「タンカー護衛の有志連合」を提唱しました。これまでの参加表明は英・豪・サウジとUAEだけです。いずれも〝米国への義理立て〟色が濃いといわれます。
 安倍内閣は米国に忖度し自衛隊を送る方針の一方で、原油供給国のイランにも配慮し、有志連合に「不参加」としましたが、軍艦派遣で「情勢の安定化」など暴論です。
 安倍内閣の方針は、米国の意向や状況の推移で武力衝突となりうる海域に派兵し、それを名目や法解釈で糊塗するもので、平和解決に逆行するだけです。断じて中東派兵はすべきではありません。



◆橫浜にカジノは入らない・・・横浜市が誘致を表明

 横浜市の林市長は、8月22日の記者会見でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を正式に表明しました。
 カジノ誘致に積極的な林市長は17年市長選挙の際、市民の反対が強いために、「誘致は白紙」と慎重派を装いました。選挙でウソをついた市長は決断の理由を、「人口減で財政事情がひ厳しい。成長、発展を続けるためにはIRが必要」と説明しました。
 横浜市は誘致に関連する2億6千万円の補正予算案を9月議会に提出します。横浜市が昨年、市政の中期政策について市民から意見を募集した際、特に多かったのがIRに関する項目で、寄せられた94%が誘致に反対でした。また、市が6月に行った市民説明会で333人に行ったアンケートのIRのイメージについて最も多かったのが「治安が悪くなる」で、その次に多かったのが「ギャンブル依存症になる」でした。
 林市長が市民を裏切ってのカジノを含むIR誘致は、民主主義の全面否定です。市民団体は、林市長へ22日署名を提出し市庁舎前の関内駅でカジノによるギャンブル依存症の増大、治安の悪化、子どもへの悪影響、そして市民の税金2億6千万円を9月議会に補正予算の提出に『カジノ以外に優先すべきことがある』と訴えました。
 カジノは刑法で禁止されている賭博です。「国家戦略特区」成長戦略によるカジノに反対しましょう。



◆福島原発かながわ訴訟判決を受けて・・・ふくかなトライアルセミナー

 
6月2日、橫浜の開港記念会館で「福島原発かながわ訴訟を支援する会」(ふくかな)主催のセミナーが開かれました。
 裁判提訴から5年半、今年2月に福島原発かながわ訴訟の判決が出されました。判決は国と東電の責任と賠償をはっきりと認めました。賠償額の上積みもあり一歩前進という内容でしたが、原告団が請求した大きくかけ離れており生活再建をできる内容とはなっていません。この間にも国と東電は原発事故避難者に対して、住宅補助の打切りなど避難者切り捨ての政策を進めています。
 シンポジウムでは黒澤弁護士が、判決の概要、慰謝料額についての問題点、今後の東京高裁の闘いなどについて具体的に報告されました。
 おしどりマコさんからは、福島の現地で取材した農民の闘いとして、「食の安全」だけを求める農水省の姿勢に対し、そこで「働く農民の健康」はどうするのかと、農地等(地面)での放射能測定検査を求める動画が紹介されました。宅地などは除線が行われていても耕作地へ行く道には高濃度の汚染地帯もあります。県の指導も、「その区域は早足で・・・」「鼻に入ったら帰ってからキチンと鼻をかみましょう」という程度のものなのです。農民の健康は全く守られていないのです。
 東京高裁での勝利をめざして原告団・支援者が一体となって闘う確認をしました。